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『ハウルの動く城』 [映画]

ハウルの動く城 特別収録版 1/24second付き

ハウルの動く城 特別収録版 1/24second付き

  • 出版社/メーカー: ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
  • 発売日: 2005/11/16
  • メディア: DVD

フィルムがどうしても欲しくて買ってしまいました。4枚組!!うう、出費が・・・
だって宮崎駿とメビウス対談も観たかったんだもん!(だもん!て。)

フィルムは、カルシファーが目玉焼きを焼いているシーンでした。なんだか嬉しいです。実際に映画館で使用されたフィルムがパッケージされているのですから。わけもなく楽しいと思いませんか、こういうの。(糸井重里はようやった!)

さて、『千と千尋の神隠し』と比べると、映画の外(マスコミの取り上げかたとか)での盛り上がりが少ないのは確かでした。

しかし映画そのものは、私はこっちのほうが百倍好きです。
映像も。話も。『天空の城ラピュタ』を超える名作だと思います。
ラストも最高!
いやー映画ってほんとにいいものですねえ。
それではまた来週。

・・・とやると、私の映画の師匠(某私大教授)に怒られるので、何が良かったのか、もう少し真面目に書きます。箇条書きで。(もちろんネタばれあります)

まず、監督が前作みたいに「子どものために作った」とか「千尋に苦労をさせる」とか発言しなかったのが良い。前作は確かに説教臭さが充満していた。今回は「老人のためのアニメ」という発言はあったが、それだけだった。

それから、前作の良さは、大体がいくつかのシーンにおける情景の美しさに依拠しているところが多かった(なぜ美しいのか、が不明瞭だった)が、今回は情景と物語のバランスがぴったりだった。つまり、情景が美しいことが物語の美しさとからみあっていた。

主人公のソフィーが老婆だというのが良い。それだけで過去の作品への自己批判となっている。
また、マルクルは自分の意志で少年になったり老人になったり出来るが、ソフィーは不可逆性の象徴として、自分の願望(ただたんにそうしたいと思うこと)だけでは行き来できない。しかし逆にいうと、自らの意志(そうなろうと思うこと、もしくはすでにそうなっていること)でしかソフィーは若返らない。

荒れ地の魔女が絶対悪でないこと。また魔女が呪いの源泉ではなく、呪い自体が主体性を持っていこと。
荒れ地の魔女をどうにかすれば呪いが解けてめでたし、めでたし、という方向性を持った物語ではないということ。

ソフィーが城で生活をしようと心を決めた時から、その主題は深く潜伏して、今度はハウルとの関係を構築する(ハウルの謎を解こうとする)主題が浮かび上がってくる。簡単な恋愛劇。そして、物語の途中にも関わらず、「愛しているの」という言葉が出てくる。つまり、愛が最後の主題ではなかったということ。「愛している」の一言でめでたし、めでたし、という方向性を持った物語ではないということ。

慎重に安易な落としどころを回避しつつ、物語は佳境へ。

ハウルの不在と城の崩壊。監督はここで「あえてハウルの内面は描かない」という発言があった。
ハウルが敵と戦うシーンは描きようによっては映画のクライマックスにもなる。普通はそうする。しかし、これは描かれない。この映画には描かれない事が多すぎる。しかし、描かれない事がらが映画をひそかに豊かにしている。

この映画のクライマックスは、ソフィーが城を初めて掃除するシーンと洗濯物を干すシーンと引越しをして模様替えするシーン、ようするに家の中で起きる事が多い。

最後のクライマックスはハウルの遠い記憶の中で起きる。流れ星のシーン。しかし、このシーンは物語の起点となる重要な場面であり、物語の謎解きが明らかになる場面でもある。最初にして最後。
最後のクライマックスなのに、それはもうすでに終わってしまったこととして衝撃的に描かれる。世界に穴があき、ソフィーは吸い込まれる。「世界の約束」を叫びながら。

荒れ地の魔女はあいかわらずしぶといし、わがままだし、ハウルに執着している。
マルクルはもう老人の姿にはならないし、おそらくはもうなれない。ソフィーに「ぼく、ソフィーが好きだよ」「ここにいて」といって以来。(記憶が曖昧なので細かい違いがあります)
カルシファーは最初からなにも変わらないが、ハウルとの重大な契約が終わり、自由になる。
ソフィーは呪いが解けたのか解けていないのかわからないが、それはどちらでも良くなってしまう。
ハウルは少年の自分の心臓を引き受ける。魔法の力は消えたのだろうか?それもはっきりとはわからない。

わからないことが多く残されたまま、映画は終わる。それでもきちんと終わる。見ている私も終わった気になる。もっと見ていたいけれど、ここで終わりなのだと納得しながら。

最後の最後で、カブの魔法も解ける。これは完全にやられた。そうくるかー!!!
いわばこの映画のオチである。カブは完全にトリックスターである。ドタバタ劇を模して、オチる。爽快すぎる。
この物語は重くないですよ、こんなものですよ、世界は、作者も観客も、軽やかなのですよ、といわんばかりに。
そして、もう一度この映画を見ると全部、すっかり語られている事に気づくのである。

いやー映画ってほんとにいいものですねえ。
それではまた来週。


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