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『マリエニスム芸術論』若桑みどり [美術]

若桑みどりさんの講義は、それはエネルギッシュで斬新で問題意識にあふれていて、聴き終えた後は意味もなく興奮していたことなどを思い出します。

ある時、講義が終わった後に質問をしに行きました。質問と言うか、その日の内容が明治時代の画家、小山正太郎についてだったので同郷の私としては一言お話したかったのでした。
(余談ですがこの小山正太郎という画家については日本の西洋画史には必ず登場するくらいのビッグネームですが、地元での知名度は今ひとつ。調べようと思っても参考になるのは司馬遼太郎の『峠』くらいでした、当時。あと「お山」の資料館には自画像があったはず)

帰りかけの背中に声をかけて、
「あの、小山正太郎のことなんですが・・・」
「あなた子孫?」
「いえ、同郷なだけなんですけど・・・」
「あ、そう」
そこでもう委縮して退散したんですけど。・・・懐かしい?思い出です。

そんな氏の専門である芸術様式のひとつであるマニエリスムについての論文集がこれです。

マニエリスム芸術論

マニエリスム芸術論

  • 作者: 若桑 みどり
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1994/12
  • メディア: 文庫

ずっと昔に買ってあったものの読む機会を逸していたのですが、このたびようやく読了しました。
で。
とにかくミケランジェロ、ですね。すっかりミケランジェロの彫刻に魅せられました、ワタシ。
名前もミカエルとアンジェロという天使の名前の組み合わせだというのを初めて知りました。その趣味的な感じがたまりません。
みなさん、ダビンチダビンチいってるけど、次はミケランですよ!!(ミシュランかっ)

ものすごく極論で言いますと、マニエリスムとはミケランジェロを頂点とした盛期ルネッサンスを築いた大家たちの技法・手法(マニエラ)を用いて、たんに自然を忠実に写しただけではなく、それをいかに美しく見えるように描くかということを極めようとしたということ(らしい)です。
炎のように、蛇のように、ねじれ、立ちのぼるような肢体を描くのがポイントのようです。

ポントルモ、 ロッソ・フィオレンティーノ、コレッジョ、パルミジャニーノ、アルチンボルド、エル・グレコといった画家たちが代表的だそうです。(すみません、アルチンボルドしかパッと絵が浮かびません・・・)

昔、思いきって買ったピナコテーカ・トレヴィルシリーズの画集(古書店で全巻セット1万円以下だった)のうち『マニエリスム』と『北方マニエリスム』を副読本にすると、あらふしぎ、この本に載っている絵がかなりの確率で掲載されているではありませんか!これは嬉しい。

ともあれ、この本を読むとマニエリスムの絵についての深い考察と隠された象徴などを知ることが出来ます。ただ、マニエリスムとは一体なんだったのかは章によって焦点が異なるので少々つかみづらかったです。別の本も読むか。ハウザーとかホッケとか。パノフスキーとか。

あとは『クアトロ・ラガツィ』もいいかげん読まねば。


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