YMCK SONGBOOK [音楽]
YMCK SONGBOOK-songs before 8bit-
- アーティスト: 井上陽水,森田童子,吉田拓郎,泉谷しげる,遠藤賢司,小田和正,友部正人,除村武志
- 出版社/メーカー: エイベックス・エンタテインメント
- 発売日: 2008/09/24
- メディア: CD
YMCKのニューアルバムにしてフォークソングのカバーアルバムです。最高。
まず選曲がよいのです。陽水の「夢の中へ」なんかはまだしも拓郎の「人間なんて」、陽水の「傘がない」、エンケンの「満足できるかな」、そして特に友部正人の「まるで正直者のように」などは普通カバーしないでしょ。そしてこれら往年の名フォークソングをあのファミコン音でピコピコ鳴らし、女の子のウィスパーボイスで歌う。そんなことはこれまで誰もしませんでした。それをしてしまうYMCKが大好きです。もともとの彼等のオリジナル作品も好きだが、今回のこの企画には正直いってノックアウトされました。
人間なんてららーらーらららーらー・・・と、あの調子でポップに歌われると、無情な感じがいやまして素敵です。THIS IS POP!
小田和正のことはそんなに好きじゃないけれど、この「言葉にできない」のサウンドクリエイトは素晴らしいものでした。
フォークソングのウェット感を完全に踏みにじるこのピコピコ8bit音楽は、しかしある世代にはある種の郷愁を感じさせる音です。それはフォークソング全盛の70年代にまさに生まれた私のような世代に直撃です。訥々と歌い上げることで我々の親たちの共感を得ていた歌が、このように生まれ変わり、それを享受する子供たちがいるという事実。これをフォークへの冒涜とみるのか、それとも遊び心と許容するのか、それとも大まじめととらえるのか。
少なくとも、歌はこの転生に耐えうるだけの強靭さを持ち、音に決して負けていません。言葉は老朽化せず、メロディは今なお訴えかけてきます。そして、私はこの「踏みにじり」加減がとても好きなのです。一足とびで先に進もうとする決意と確信、踏みにじってはいけないと誰かがいうその頑なさを蹴飛ばしてしまうような強さに憧れます。
キャッチーですが、ある意味とても渋いアルバムです。
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